切手の芭蕉

2011年9月 5日 (月)

切手の芭蕉      (11回)

「奥の細道シリーズ」    第10集

*60円切手(2種連刷)2組      「浜の秋」   「蛤」
*切手発行日              平成元年5月12日
*消印                   岐阜県大垣郵便局

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「浜の秋」

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さびしさやすまにかちたる浜の秋     芭蕉

芭蕉は陰暦8月16日(陽暦9月26日)に、敦賀湾の北西部にある色が浜に遊ぶ。
『源氏物語』以来絶賛される須磨にも勝る色が浜の寂寥感を詠ったもの。


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「蛤」

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蛤のふたみに別行秋ぞ       芭蕉

蛤の蓋と身が離れにくいように私にとって別れがたい大垣の人々であるがここに別れて私は伊勢の二見が浦を見にゆく。折から季節も秋が行こうとしており、別れの寂しさがいっそう身にしみて感じられる。

芭蕉は陰暦8月20日過ぎに大垣に着き、そこで『おくのほそ道』は終った。
しかし漂泊の人芭蕉はさらに旅を続ける。この句は大垣の人々への別れの句、そして『おくのほそ道』の結びの句。


                    切手発行数  33,000,000枚

 

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― 終りに ―

「切手の芭蕉」「第9集」をマイブログでご案内したのは3月11日だった。
そしてその日の午後「関東東北大地震」が襲った。


行春や鳥啼(なき)魚の目は泪(なみだ)   
あらたふと青葉若葉の日の光
田一枚植て立去る柳かな
野を横に馬牽(ひき)むけよほとヽぎす
世の人の見付ぬ花や軒の栗
早苗とる手もとやむかししのぶ摺
夏草や兵(つはもの)共が夢の跡
あやめ艸(ぐさ)足に結(むすば)ん草鞋(わらぢ)の緒
まゆはきを俤(おもかげ)にして紅粉(べに)の花
閑さや岩にしみ入(いる)蝉(せみ)の声
雲の峯幾つ崩て月の山
さみだれをあつめて早し最上川
象潟や雨に西施(せいし)がねぶの花
荒海や佐渡によこたう天河(あまのがは)
わせの香や分入(わけいる)右は有磯海(ありそうみ)

あかあかと日は難面(つれなく)も秋の風
石山の石より白し秋の風
月清し遊行(ゆぎやう)のもてる砂の上
さびしさやすまにかちたる浜の秋
蛤(はまぐり)のふたみに別(わかれ)行(ゆく)秋ぞ

芭蕉の歩いた道はどんな形で残っているのだろう。
震災の復興は未だ始まったばかりである。  (終)

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2011年3月11日 (金)

切手の芭蕉     (10回)

「奥の細道シリーズ」   第9集

 

*60円切手(2種連刷)2組    「那谷寺」(なたでら)   「月光」
*切手発行日            平成元年2月13日(月)
*消印                 福井県敦賀郵便局

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「那谷寺」

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石山の石より白し秋の風     芭蕉

眼前の灰白色の石山より秋風の方がもっと白く寂しいことよ。
石山はここ那谷寺(なたでら)の石山をさす。
とはいえ、芭蕉の頭の中には近江の石山寺がなかったといえば嘘になる。と解説されるのが一般的。

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「月光」

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芭蕉は陰暦8月14日の夕暮敦賀に着く。

 

 月清し遊行のもてる砂の上      芭蕉

 

夕食後月が格別美しいので、土地の気比(けい)大明神に参拝する。
この寺の砂は歴代の遊行上人が手ずから運んで敷いた砂。
所謂「遊行の砂持ち」といわれている。


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*切手発行数  各33,000,000,枚

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切手の白い芒が石山の石の白さを象徴している。
  その白さより秋風の方をもっと白く感じた芭蕉。白く浄化された秋。

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2011年2月20日 (日)

切手の芭蕉     (9回)

  「奥の細道」シリーズ    第8集

 

*60円切手(2種連刷)2組    「わせの香」  「赤映」
*切手発行日            昭和63年11月11日(金)
*消印                石川県金沢中央郵便局 


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芭蕉は酒田を発って、残暑きびしい北陸道に入ると季節はもう秋。

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 わせの香や分入右は有磯海          芭蕉
 (わせのかやわけいるみぎはありそうみ) 

北陸道の倶利伽羅峠(くりからとうげ)は越中と加賀(石川県)との国境。
早稲田が実っている間を分け入るように歩を進める。
有磯海を右手に見たときの心は弾む。 

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この句は金沢のあとの「途中吟」

  あかあかと日は難面も秋の風           芭蕉
(あかあかとひはつれなくもあきのかぜ)

今、赤赤と照りつける残暑の日ざしは秋などそ知らぬ顔だが、さすがにもう秋。
風には秋風らしい爽やかさが感じられる。

Plant013 駆け足で「切手の芭蕉」をご紹介しています。久しぶりに芭蕉さんと歩く「奥の細道」は爽やか、軽やかの感じですが実際の旅はそれはもう旅の苦労、句の苦労の連続だったことでしょう。そういう中での俳句の表現がハイレベルなのは流石です。
この「あかあかと・・・・」の句はとても惹かれる句。
「日はつれなくも・・・」に女性的叙情が・・・・。

 

*いずれの切手も発行枚数は33,000,000枚。

 

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2011年2月 8日 (火)

切手の芭蕉   (8回)

「奥の細道シリーズ」   第7集     

*60円切手(2種連刷)2組    「ねぶの花」 「荒海」
*切手発行日                        昭和63年8月23日(火)
*消印                                 秋田県象潟郵便局


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名勝「象潟」は、今の秋田県にあった潟湖

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 (小型シート)

  象潟や雨に西施がねぶの花       芭蕉 
(きさかたやあめにせいしがねぶのはな) 

雨の象潟を雨に濡れるねむの花のように西施(中国の美人)が物思わしげに眼をつぶっている趣があると・・・。
象潟は芭蕉が訪れた後の地震(1804年)で土地が隆起し陸地となった。 

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 (小型シート)

  荒海や佐渡によこたふ天河          芭蕉
(あらうみやさどによこたうあまのがわ)

日本海の荒海にある佐渡が島。流罪の地、また黄金が掘られたりもした喜怒哀楽が渦巻いてきた島。そんなことも些事なのか。天の河が佐渡が島にかけて大きく横たわっている。悠大且つ古典的な句。

あれれ!封筒に印刷されている句は「よこたふ」ではなく「よこたう」になってるけど?
この封筒は郵政省発行のものではないことは確か。
これは「切手普及協会」から発売されたもの。
まあ、私製封筒みたいなものなのだから、何故「よこたう」なのか?・・・私にも分らない。不思議・・・?

*いずれの切手も発行枚数は33,000,000枚。

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2011年1月27日 (木)

切手の芭蕉  (7回)

「奥の細道シリーズ」  第6集

芭蕉は立石寺から最上川上流の船着場大石田へ出る。

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 さみだれをあつめて早し最上川      芭蕉

この句の初案「さみだれをあつめてすヾし最上川」がこの地での作。
『おくのほそ道』では最上川下りをしたあとのところに、「すヾし」を「早し」に
改作して載せてあるのは有名な事実。最上川は日本三大急流の一つ。

*切手発行日 昭和63年5月30日
*切手発行数 各33,000,000枚 (1シート切手20枚・2枚一組)
*消印      山形大石田郵便局


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  雲の峯幾つ崩て月の山         芭蕉
(くものみねいくつくずれてつきのやま)

月山を仰ぎ見ながらの句。この雲の峯は夕方までに幾つ崩れては湧き、
湧いては崩れたのだろうか。

*切手発行日  昭和63年5月30日
*切手発行数  各33,000,000,枚 (1シート切手20枚・2枚一組)
*消印       山形大石田郵便局

 

 それにしても記念切手の発行枚数がこんなに多いとは驚き・・・・。

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2010年12月19日 (日)

切手の芭蕉   (6回)

「奥の細道シリーズ」   第5集

奥羽山脈を越え、出羽の尾花沢に入り、しばらく滞在する。
立石寺(りゅうしゃくじ)に行く途中、紅花が一面につぼみをふくらませている。

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まゆはきを俤にして紅粉の花          芭蕉
 (まゆはきをおもかげにしてべにのはな)

紅花からまゆはきを連想した作者。「まゆはき=眉掃き」とは女性が白粉をつけたのち眉を払うのに使う小さい刷毛。
 

 

 *切手発行日  昭和63年3月26日
   *消印      山形尾花沢郵便局

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 閑かさや岩にしみ入蝉の声          芭蕉
 (しずかさやいわにしみいるせみのこえ)


立石寺での作。森閑として物音一つしない山寺。そのむなしいような寂寞の中、蝉の声だけが一筋、岩に染み透るように聞こえる。

同行した曾良の作品書留の中の句。

 立石寺   
 山寺や石にしみつく蝉の声

 後に『初蝉』では     さびしさや岩にしみ込蝉のこゑ

これらの句を経て歳月をかけ、かの有名な「閑かさや・・・・」の句に到達している

 

 *切手発行日  昭和63年3月26日
     *消印       山形尾花沢郵便局

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2010年11月30日 (火)

切手の芭蕉   (5回)

「奥の細道シリーズ」   第4集

名取川を渡って伊達家の城下町に入る。


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あやめ艸足に結ん草鞋の緒         芭蕉
 (あやめぐさあしにむすばんぞうりのお)

家々の軒には端午の節句のあやめが挿してあるが自分はせめてわらじの緒にでもあやめを結んで旅の無事を祈ろう。(あやめ草とは菖蒲のこと)

加右衛門が餞別にくれたのは草鞋と絵図。
絵図をたよりに、「奥の細道」と呼ばれる山のふもとをゆく。

*切手発行日昭和63年1月23日
*消印は仙台中央郵便局

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夏草や兵共が夢の跡            芭蕉
 (なつくさやつわものどもがゆめのあと)

仙台~塩釜~松島~石巻、そして平泉へ。

この高館(たかだち)から眺望される平泉一帯は、昔義経の一党や藤原三代の一族等が功名を夢見たり栄華にふけった跡。今は只、夏草が茂っているばかりだ。
                       この句好き。

*発行日 昭和63年1月23日
*消印は仙台中央郵便局

 

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2010年11月22日 (月)

切手の芭蕉  (4回)

 「奥の細道シリーズ」  第3集

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  世の人の見付ぬ花や軒の栗    芭蕉

地味で目立たない栗の花は世の人の目にとまらない花。その栗を愛して世をさけて住んでいるこの庵の主人もゆかしい人。

白川の関を越えて、旧知の俳友、須賀川の豪農、相良伊左衛門(俳号・等窮)<とうきゅう>を訪ねしばらく滞在した時の句。

*切手発行日 昭和62年8月25日
*消印は福島中央郵便局

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  早苗とる手もとや昔しのぶ摺     芭蕉

芭蕉が今の福島市の郊外にある「しのぶ摺の石」を訪ねたときの句。

早苗とる乙女のてつきを見て、昔「しのぶ摺り」をした手つきもあんなものではなかったのか・・・と。
切手の、早苗とる乙女の何と優雅なこと。
「しのぶ摺(ずり)」は昔、奥州信夫郡から生産した摺絹(すりぎぬ)の一種。

*切手発行日  昭和62年8月25日
*消印は福島中央郵便局

 

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2010年11月11日 (木)

切手の芭蕉   (3回)

「奥の細道シリーズ」  第2集

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野を横に馬牽むけよほとゝぎす      芭蕉

 

芭蕉が黒羽から馬に乗って那須温泉へ行く途中の作。
「馬子よ、あのほととぎすの鳴き行く方へ馬を引き向けてくれ」

*切手発行日 昭和62年6月23日  60円切手2種
*消印は栃木県那須塩原市黒磯郵便局

 

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 田一枚植て立去る柳かな       芭蕉

 

西行が歌に詠んだ有名な柳はこれか・・・と感慨にふけっている間に、田植えをすませた人々の気配。はっと我にかえる芭蕉。切手の柳も白く輝いて・・・。

*切手発行日 昭和62年6月23日  60円切手2種
*消印は黒磯郵便局

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2010年11月 3日 (水)

切手の芭蕉    (2回)

Img_7108_2「 奥の細道シリーズ」 第1集  Img_7109_3

 

 

 あらたふと青葉若葉の日の光     芭蕉

芭蕉は江戸の千住を3月27日(陽暦「5月16日)に発ち3日目に日光に着いた。

「あらたふと」=「何と尊く感じられることよ」という感動の言葉に集約された日光山に対する芭蕉の挨拶句。
切手の華厳の瀧が青葉の中に白く長く印象的。

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切手の発行日 昭和62年2月26日 切手2種
*消印は日光郵便局

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