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2016年1月 9日 (土)

シンデレラの馬車 (2)

「有田陶器市」は全国的にも知れ渡っている佐賀県有田市で開かれる一大イベント。有田の陶器店は窯元は元よりすべての店が参加するらしい。そして一般の人も出店出来るブースがあって新品から中古まで幅広く買物出来るという消費者も燃え上がる。

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人波でごった返しているメーン会場より少し離れたブースに絣の着物を着た品のいいご老人が、あの「シンデレラの馬車」を茣蓙の上にたった一つ出品してぽつねんと店番をしていた。
誰もシンデレラを見ることもなく振り返りもせず只、そこだけは時間ばかりが流れている別世界だったらしい。

前を通りかかった私の姉。
「小父さん、その馬車は
売り物ですか?」
やっとお客さんが寄ってくれてびっくりしたような小父さん。

馬車を手に取った姉はすっかり気に入って「小父さん、これおいくら?」と聞く。「9,000円です」

「わあ、これ素敵!これ頂きたい!」姉の顔をしげしげと見た小父さんは「いいですよ。大事にしてね」という訳で商談成立。

小父さんは手持ちの紙で丁寧に包んでくれた。
「有難う」一万円札を出して、「おつりはいいわよ」もう姉はうれしくてうれしくてルンルン・・・。
小父さんは「有難うございます」・・・と丁寧にお礼を言って、それで話はお仕舞い。なのであるが・・・。

この陶器市へ買物に来る時はいつも手に持てるだけしか買わないという原則を守っている姉は今回はこの「シンデレラの馬車」一つを大事に抱えて福岡まで帰った。

以来、馬車は姉の寝室の窓際の棚で楽しい夢を乗せ続けて年月が流れて行った。

姉と私はこの馬車を売りに来ていた小父さんのことに話が及ぶといつも夜が更けてしまう。

あの馬車は亡くなった奥さんの思い出の品だったのかも知れない。一人ぼっちの小父さんは、妻との思い出の品を手放したのよ。あの馬車を大事にしてくれそうな人に・・・。

きっとあの小父さんは一人暮しで、自分の亡きあと、捨てられるかも知れないこの馬車を誰かに託したかったのかも・・・。

あの馬車は奥さんとの旅行の時、一緒に買物をした思い出の品よ、きっと・・。馬車にはタグがちゃんと付いていて、ニューヨークの文字が入ってるから、ニューヨークで買ったのかしら?

それにしても品のいい小父さんだった・・・・あの頃は絣の着物を普段に着ることは全然不自然ではなく普通だったのよ。

既に違う世界に居るであろう小父さん。未だ破損もせずきれいなままの馬車をあの世から眺めて、きっと満足しているに違いない。託した相手に間違いは無かった・・・と。

「シンデレラの馬車」は高さ17cm、幅35cm、奥行13cmの存在感あり。

底に工房の「Nマーク」がくっきりと付いている。これ以上詮索しない方がいいのかもね・・・。

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