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2013年3月 6日 (水)

『白鳥』            ― 池田義弘句集 ―

今日もコハクチョウの北帰行のニュースを見た。

空を飛ぶ白鳥を見たことの無い私にとって、「白鳥の空」は憧れの空。
春が来ると蒼い空を帰りゆく姿を想像するだけでも夢心地なのだ。


白鳥との身近な暮しを垣間見ることの出来る句集『白鳥』。
春になるとついつい書棚に手が伸びてしまう。

では句集の中の白鳥句全てを列挙しよう。
白鳥百体の感動に読者が眩暈を起こさないことを祈りつつ。

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白鳥のこゑ腸に沁む夜かな

髪切つてきて白鳥の翔つ羽音

満ちてくるものあり白鳥鳴き交す

人はみな消え白鳥の水鏡

朝霧の給餌白鳥うねりつつ

白鳥の湖心さざめく焚火かな

地下道を出て白鳥の羽音あり

先陣の白鳥としてかたまれり
 

凶作の年を白鳥はや来る 

白鳥を送り耳鳴りしてをりぬ

白鳥飛ぶ空に漣拡がれり
 

白鳥来るふかき蒼空師の亡くて 

定年や白鳥が飛ぶわが頭上 

白鳥飛ぶ道あり母のすこやかに 

白鳥飛ぶ雪の山河を従へて 

水際まで焚火の余熱白鳥翔つ 

白鳥の飛来や赤子熟睡せる

白鳥に顔あげてゆく登校児

白鳥帰る空に槐太のデスマスク
 

うたた寝の妻や白鳥鳴き渡る

白鳥飛ぶしかとその足胸に抱き

白鳥にけものの匂ひ日の暮るる

白鳥を見てゐて誰もゐなくなり

白鳥の帰りし空の濡れてをり

帰る日近き白鳥の声熱かりき

吹雪かれて白鳥の羽根ももいろに

諍ひしあと白鳥のしづかなり

わが骨の軋みや白鳥鳴きつのり

『白鳥』の帯ともなっている「あとがき」より一部抜粋。

白鳥ははるかシベリアの地よりここ阿武隈川に毎年忘れずに飛来してくる。その不可思議な能力に魅せられる。白鳥の句が多く、以前に白鳥の餌付けを手伝っていて、ことのほか白鳥に縁が深かったので句集名を『白鳥』とした。

                                       『白鳥』2006年発行
                                       池田義弘句集

あと数日で「東日本大震災」後2年目を迎える。
何とあの年も白鳥は律儀に飛来して来たという。
福島市にお住いの池田義弘さんは
今年も叉どんな気持で白鳥を見送っていらっしゃるのだろう。

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