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2011年8月 4日 (木)

『異空間』         藤崎幸恵句集

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俳句の醍醐味は十七文字の現実を踏まえて、どれだけ「異空間」へ思いが飛躍出来るかにかかっている。

 陶枕にしたき陶の馬ありにけり   幸恵

私の思いは一気に「陶の馬」から千数百年前の「唐三彩」の「唐の馬」へ飛んでしう。
唐三彩は緑、白、褐色、藍色などの色彩豊かな焼物。形や表情は素朴。それでいて品格があるのはその昔、洛陽、長安における貴族の葬礼や副葬品として使われたからであるという。
陶の馬を見て陶枕にしたいと思った幸恵さんの一瞬の思いに私も共感した。ひととき私は「唐の馬」の極彩色の「異空間」を見たのだった。

   朧夜や銀座の路地の異空間

   さざ波が化石となるや日の永き
   火星接近鰯は七つ星負うて
   美術展監視員ミイラのごと隅に 
   冬はじめ巨大胃袋の中迷ふ
   桃の花レントゲン室で立膝す
   厩出しトロイの馬がその中に
   ちらしずし飾りをはれば春の山
   巻貝の中の明るさ蛍火は
   生ぬるき我に飽く夜のほととぎす
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「街俳句会」同人藤崎幸恵さんの
句集『異空間』は2011年3月上梓された。

句集の中に点在する「異空間」が素敵だ。
藤崎さんおめでとうございます。

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