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2011年3月 2日 (水)

雛祭前夜

  野分来ることに少年浮き浮きと           岩田由美
                                       
句集『花束』より

昔、少女だった私も「颱風が来るぞ来るぞ」と大人たちが戦々恐々としているのに、何故か恐い物見たさの待ち遠しさがどこかにあった。ましてや少年が浮き浮きしたとしてもちっとも不思議ではない。「浮き浮きと」がとても効果的。未だ本当の颱風の物凄さを知らぬ少年。未知のものにときめくのが少年なのだ。
              


  吊し雛ひとつひとつに灯をくるみ           上田日差子
                                 
句集『和音』より

着物の端切れで作る吊し雛は素朴で華やか。「ひとつひとつに灯をくるみ」は写生であって写生を超える詩の表現。作者の感性により生れた言葉の綾。
                Img_4031_2

Plant013_2  お二人共に「第34回俳人協会新人賞」を受賞。それぞれの「自選15句」の中から私の一番好きな句を一句づつ選んだ。
共に1961年生れ。眩しいような年齢である。


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